大菩薩嶺~中里介山の大菩薩峠の舞台となった峠からは富士山や南アルプスの展望が開けます~ 


標高
大菩薩嶺 2056.9m
山域
奥秩父
登山日
1989年4月29日(土)
歩程
上り3:10、下り2:25、合計5:35
歩行距離
13.7km
標高差
1,165m
累積標高差
1,273m、-1,273m
登山口
大菩薩嶺登山口mapon
交通機関
 JR中央本線塩山駅、 山梨交通バス
登山コース
大菩薩嶺登山口 -0:30→ 仙石茶屋 -0:15→ 第一展望台 -0:40→ 上日川峠 -0:15→ 福ちゃん荘 -0:45→ 大菩薩峠 -0:45→ 大菩薩嶺-0:55→ 丸川峠 -1:20→ 雲峰寺 -0:10→ 大菩薩嶺登山口
コースmap
大菩薩嶺 登山コース

 

「大菩薩峠は江戸を西に距ること三十里、甲州裏街道が甲斐国東山梨郡萩原村に入って、その最も高く険しきところ、上下八里にまたがる難所がそれです・・・。」の書き出しで始まる中里介山の大菩薩峠。机竜之介が大菩薩峠の頂きで老巡礼を斬り殺したことから始まるこの小説は、幕末の京都などを舞台として書きつづけられた40巻を越える長編小説です。往時この峠は甲府と奥多摩を結ぶ裏街道でもあったようで、表街道である甲州街道をはばかる旅人などにも利用されていたようです。また、NHKの大河ドラマ、武田信玄のタイトルバックに登場した富士山は、山頂直下の稜線から撮影したものとか。そのことからも大菩薩峠は富士山や南アルプスの好展望台として有名な山です。

ゴールデンウィークの初日、新宿駅を出発した甲府行きの普通電車は思い々の服装をしたハイカーであふれています。新宿から2時間、真新く改装された塩山の駅前には、すでにたくさんの人々が大菩薩峠に向うバスを待っていました。

山行の記録

 大菩薩嶺登山口~仙石茶屋~上日川峠(長兵衛山荘)~福ちゃん荘

30分ほどでバスは大菩薩嶺の登山口に到着しました。登山口の両側には、数件の茶店や民宿等が並んでいます。ここから舗装された車道を登り始めます。左手には武田信玄に縁のあるという裂石山雲峰寺の古びた山門が建っています。緩やかな車道を芦倉沢に添って登って行くとやがて仙石茶屋にたどり着きます。年老いたお婆さんが茶屋を出していました。お婆さんの話では「今朝は霜が下り、水道も凍結した・・」とか。まだこの付近は本格的春の訪れには時間がかかるようです。

仙石茶屋から登山道は芦倉沢を離れ樹林帯の中を登って行きます。しばらく登ると第一展望台。ここからは眼下に甲府盆地、その奥に白く雪を被った南アルプスの山並みが春霞の中に霞んでいます。さらに尾根道を登って行くと第二展望台です。ここから上日川峠に向かう車道を左に眺めながら、しばらくきつい登りに汗を流します。やがて登山道は上日川峠の長兵衛山荘の前にたどり着きました。

長兵衛山荘からは登山道りも緩やかになります。笹に覆われた登山道をしばらく登ると、よく整備された福ちゃん荘の前にたどり着きます。山荘の前からは、これから登る大菩薩峠とそれに続く大菩薩嶺への尾根が手に取るように眺められます。

 大菩薩峠~大菩薩嶺

大菩薩峠に向かう稜線から眺める富士山

福ちゃん荘で唐松尾根への登山道を左に分け、姫ノ湯沢に向かい車道を登って行きます。途中、富士見山荘で富士見新道を左に分ます。ここで車道を分かれ小広い登山道を登って行きます。右手は大きく視界が開け白く雪を被った富士山が霞んでいました。しばらく登ると赤い屋根をした介山荘の建つ大菩薩峠にたどり着きました。

大菩薩峠は広い草の峠で、左手には山また山が連なる奥多摩の山並みが、振り返ると霞んだ甲府盆地と甲斐の山々が広がっていました。ここの草原でコッヘルを出して昼食としました。

大菩薩峠からは広い笹尾根を登り始めます。峠より少し登ると中里介山の文学碑が建っていました。露岩の点在する尾根道を登った台地が親不知ノ頭。NHKの大河ドラマ武田信玄のタイトルバックとなったロケ地です。ここを下った鞍部が旧大菩薩峠、賽ノ河原とも言われるところで、小さなケルンが幾つも立っていました。さらに尾根道を登ったピークが妙見ノ頭、点在する露岩をたどる尾根道は高山の雰囲気がするところです。しばらく登ったコブは神部岩、富士見新道のクサリ場を左手に分け、登り詰めたピークが標高2,000m雷岩です。雷岩は神成岩とも言い、神戸神社の奥社として雨乞いの祈祷が行われていたと言います。大菩薩嶺へはここから林の中をひと登りです。たどり着いた山頂は、針葉樹の林に囲まれ展望は全く望めません。

 大菩薩嶺~丸川峠~大菩薩嶺登山口

大菩薩嶺から針葉樹の林の中を丸川峠に下山することとします。林の中には4月の終わりというのに、残雪が張りついています。固く凍りついた残雪は非常に滑りやすく、思わず足にも力が入ってしました。やがて残雪も消えかけると小広い草原の鞍部に建つ丸川峠にたどり着きました。

丸川峠には古い丸川荘が建っています。小屋の前で一休みした後、落葉松の急な登山道を登山口に向かい下って行きます。登山道はかなり急な下り坂で、一気に高度を落とすことができます。登山道の両脇にはツツジの灌木が生えていますが、まだ春の芽ぶきにも時間がかかるのか、梢の蕾も固いようです。やがて沢沿いの道に下り幾つかの堰堤を超えると、今朝分かれた丸川峠への分岐点にたどり着きました。登山口は舗装道路をしばらく下ったところです。

Panorama
雷岩から眺める富士山 (カシミールで)

 

その他のコース・山行記録
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